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「描きこめばいい」という訳ではない、画面のバランスの話(絵全般 描き込みのバランス)


 

今回は、タイトル通り描き込みのバランスの話をしたいと思います。

先に結論を言うと、描いている絵の要素(状況)にあった描き込みとバランスが重要になります。

以下に詳しく書きます。

 

 

 


 

上の画像は20代の生徒さんの油絵です。

まだ、油絵は2枚目なのですがとても良く描けていると思います。

 

ちなみに、この生徒さん自身も部分的にもう少し描き込もうと途中でしていましたが、講師が説明をして最終的にこのような画面になりました。

今の生徒さんの能力と画面のバランスをみると、このくらいがいいと講師は判断しました。

ただ、人によってはもっと細部を描いたほうがいい思う方もいると思います。

 

例えば、バラの葉っぱ(ちなみに造花です)は下描きが部分的に残っていたりもするので、それを消しながらもっと描くことは出来ます。

ただし、葉っぱを綺麗に描きすぎる、バラと背景のバランスが壊れてしまいます。

理由は、この作品の背景が自然な空間ではなく、抽象的な表現だからです。

絵具の垂らした跡や、筆跡もあり、それが魅力的に残っています。

ちなみに、この背景の実際の空間は白い壁です。

 

画面のバランスとしては、この背景の「抽象的な表現」とモチーフの「写実的な表現」を繋げる要素がないと、ちぐはぐな画面になってしまいます。

葉っぱの下描きが残り、背景に溶け込んでいたりするというような、抽象的な要素が正に「背景とモチーフを繋げる重要な要素」になる訳です。

 

もちろん、バランスのとり方、関係を繋げる要素は他にもいろいろあるので、今回の作品のバランスのとり方は一例になります。

ただ、何でも細かく描きこめばいいかというと、そうではなく描いている画面によって抜き差しをするバランスが大切ということになります。

 

 

 

 


<今回の話と関連する本の紹介>

油絵の特に近代の色々な描き方の紹介をしている本です。

描き込みのバランスについては、今回のブログのような画面全体についての話はあまりないですが、具体的な部分の描き方や注意点などはわかりやすく、バランスを意識するときにも勉強になります。

油絵の初心者、中級者ぐらいの方は1冊持っていおいて損はないかなと思います。