
教室はデッサンを学んでいる生徒さんが多いです。
今回はデッサンの初心者の生徒さんによく話すことを書きます。
①<素朴な疑問>「なぜ、デッサン用の鉛筆はいろんな濃さがあるのか?」
初心者の方でこんなことを思うことは自然だと思います。
その理由を理解して、鉛筆の種類の使い分けれるようになれば、なかなかデッサンに慣れてきている証拠です。
先に結論としては、
●鉛筆の濃さや質感を使い分けるないと、しっかり描けないからです。
●鉛筆の濃さを調整する(特に濃くしたい)場合に無理に筆圧を上げて描くと紙の繊維を痛めたり、黒光りしてしまうから。
簡単にはこんな感じです。
以下に具体的に説明します。
●鉛筆の濃さや質感の違い
まず、教室では「2B、B、HB、F、H、2H」の鉛筆を購入していただきます。
これはデッサンで使用する最低限必要な鉛筆といっていいでしょう。
これらの違いとしては、
B系の数字が大きくなればなるほど、<色が濃い、質感としてザラザラしている、芯が柔らかい>
H系の数字が大きくなればなるほど、<色が薄い、質感として滑らか、芯が硬い>
こんな違いがあります。
ちなみに、「HBとF」はB系とH系の中間的なものでHBの方がB寄りになります。
つまり、濃さの順番として
「濃い、ザラザラ、柔らかい ← 2B、B、HB、F、H、2H → 薄い、滑らか、硬い」
となります。
②<基本的な使い方>
細かくはいろいろありますが、大雑把に説明すると、
描き始めはB系を使い、中盤や仕上げに進めるにつれてHB、F、H系を使います。
詳しくは以下に。
●描き始めにB系を使う理由
B系は芯が柔らかく濃いため、最初に形を取るときなど何本を線を描いたり、消したりするのに向いています。
柔らかくて濃いと、力を入れずに線が描けるので紙の繊維を痛めず、失敗しても簡単に消せます。
これをH系など硬い鉛筆で描いてしまうと、色を濃くするのに筆圧を上げる必要があり、紙の繊維を痛めやすいです。
また、紙の繊維が痛みすぎると表面が剥がれてします。
これは初心者の方が結構やってしまうことです。
また、描いた線を消したとしても、紙が凹んで白い溝になってしまうことがあります。
B系でも普段文字を描く筆圧で鉛筆を立てて描く場合、デッサンでは筆圧が強すぎます。
その場合、やはり紙を痛めたり、消しても後々白い溝が見えてしまいます。
とにかく、デッサンの場合「もっと濃くしたい」と思った場合は筆圧を上げるのではなく、鉛筆の濃さが濃いものに変えましょう。
●中盤や仕上げで、HB、F、H系を使う理由
B系である程度形が描けたら、HB以上を使うことをオススメします。
理由としてはB系の場合、質感がザラザラしているので陰影を描きこむと荒く見えてしまうからです。
また、慣れない内はすぐ黒くなるので全体的に黒くなりやすいです。
細かいやり方はいろいろとあるのですが、初心者の場合はそうした方が無難です。
仕上げに向けて細部を描く場合は、細かく滑らかに描く必要があるのでH系など硬めの鉛筆がメインになっていきます。
③<鉛筆の質感や濃さの違いがよく分からない場合>
最初は2BとBや、Hと2Hなどの違いはあまり分からないと思います。
教室でオススメしているのは最初は3本の鉛筆で描くことです。
例えば、「2B、HB、2H」または、「2B、F、2H」を使ってみましょう。
このくらいであれば、鉛筆の濃さや違いが分かりやすいのでそこからスタートして、必要になったら中間の鉛筆も使っていくと分かりやすいと思います。
④<デッサン用の鉛筆は有名なメーカーのものを買いましょう>
Amazonや楽天など大手通販サイトで、デッサン入門セット的な物が販売していると思いますが、購入する際には注意しましょう。
一見、オシャレでいろいろそろっている商品でも、メーカーを調べると無名のものなどがあります。
特に鉛筆の描き味は全然違います。
また、後々鉛筆を買い足そうとしても、画材屋さんで売っていないなんてこともあります。
鉛筆でメジャーなものは2つあり、
「三菱 ハイユニ」と「ステッドラー マルス ルモグラフ」です。
この2つが売っていない画材屋さんはまず無いと思います。
オススメとしては「三菱 ハイユニ」です。
講師的にはステッドラーのルモグラフよりも、ハイユニは少し粘り気があり紙に芯が乗りやすく、柔らかめです。
デッサンの用具について<こちらのページ>にも詳しく書いてありますので、一度確認をしてご購入することを強くオススメします。