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人物クロッキーを大きい画面で描いたほうがいい理由と、観念的な線とリアルな線の違い


<木炭紙大サイズ(650mm×500mm)で生徒さんが描いた人物クロッキー>

 

 

絵画でもイラストでも、人物の描くのって難しいですよね。

人物の描く練習としては、人物クロッキーが一般的です。

特に、絵画の人物クロッキーは、短い時間で人物のバランスを「本人なりに」把握することが大切です。

つまり、細かいズレは置いといて、その人物らしさやリアリティを掴み、表現することが重要になります。

 

絵画での人物クロッキーは木炭紙大サイズ(650mm×500mm)というかなり大きいサイズの画面で描くことが多いのですが、

講師がそれをオススメする理由を簡単に説明します。

先に結論をいうと、大きい画面の方が人物のより細かい変化が描け、観察する力も身につくからです。

 

 

 

 


教室で使っている木炭紙大サイズのクロッキー帳

 

教室で資料として購入している本です。

 絵画のクロッキーは人によってかなり描き方が違います。

 

 



<講師の学生時代のクロッキー>

 

 

例えば、背中からお尻までのラインを描くとします。

これを15cm程度のメモ帳に7cmぐらいで描くとします。

同じ比率で、木炭紙大サイズ(65×50cm)に描く場合は30cmになります。

モチーフは大きく描けば描くほど、ちょっとした形の変化を描くことができます。

人物以外の絵を描く場合でも、大きく描いた方が当然より細かく描き込めます。

 

 

 

 

 <観念的な線(腕)>

 

 

クロッキーに慣れていない人ほど、形を観念的に見て、細かい変化を省略しがちです。

観念的な線とは、実際の人物の形を描いた線ではなく、脳内で単純化(記号化)されたものです。

バランスが合っていたとしても、描いた対象のらしさ(リアルさ)がありません。

つまり、実際の人物を見ていないのと同じ訳です。

 

そのようなことで、まずは、形の正確さよりも人物をしっかり見て、形の変化や強弱を描くことが大切です。

また、その際に画面を見すぎると、頭の中で勝手に補正して、描く線がやはり観念的になるので、

なるべく画面を見ないで、長い線を描くこと(線が短いと画面を見る回数が増えるのと抑揚が出しにくいので)が大切です。

実際の人物は、頭で想像する以上の何倍も形や線の強弱の変化があります。

 その線に抑揚をつけることが大切なのですが他のポイントとして、

 

・抑揚が出せるようにコンテ、オイルパステル、パステル、木炭、筆ペンなどを太い線が描けるものを使う

・線のリズムを擬音にしてみることよりイメージを明確にする(例えば、「スゥーっときてからグッと描く」など)

 

 こんなことを意識してみるといいと思います。

 

 

 


大きい画面に人物クロッキーを描くのにオススメの道具

 


<講師の学生時代の人物クロッキー(コンテを使用)>

<講師姉の学生時代のスケッチ(筆ペンを使用)>


<講師の学生時代の人物クロッキー(ボールペンを使用)>

<講師姉の学生時代のスケッチ(筆ペンを使用)>


 

 

最後に講師と講師の姉(昔アニメーターをしていました)のクロッキーを紹介します。

ちなみに姉の場合には厳密にはスケッチなのですが、クロッキーっぽいものを選びました。

クロッキーとスケッチの違いとしては、

 

・クロッキーはより瞬間的で形の正確さはあまり問われない。

・スケッチは記録やメモ的な意味合いが強く、形の正確さもある程度問われる。

 

講師的はこのような意味合いで使っています。 

 

講師と姉は表現が真逆くらいに違います。

講師の場合は、あまり輪郭を描かないで人物の筋肉の流れや稜線を見ながら描いていきます。

姉の場合は、イラストが得意なので人物を輪郭を見て描いています。

これらは、どちらの方が良いという話ではなく、違いであり、体質(個性)です。

教室でも、生徒さんにあった表現が見つかるように、様々な方法を試しながら描いていもらっています。

 

 

 


姉が描いた作品で使用されていた筆ペンです。

 色が薄いので濃淡が描きやすく、毛先も若干硬めでオススメです。