前回は絵と全然関係ない話だったので今回は難しめの絵の話をします。
タイトル通り私は絵を描くときに「今描いている場所は実はあんまり重要じゃない」と思っています。
それよりも「描くことで周りとの状況(関係性)がどう変化するか」ということがとても大切だと考えます。
要はどちらを基準にするかの話ですね。
具体的に話をしましょう。
デッサンを描くときにどのくらい明暗のバランスにするかや距離感を出すか(奥や手前)などは周囲との関係で成り立ちます。
例えば、「モチーフの影」はモチーフとセットで存在します。
また、光がどの方向からどのくらいの強さで当たっているかも重要です。
その比較をしないで一方的に描いてもチグハグな関係になってしまう訳です。
ちょっと話を変えて、何かを補修する場合なども補修箇所だけを見て作業をすると不自然に目立ってしまうと思います。
やはり、周りに対して自然に見える関係というものが大切です。
これが出来ると「部分を描きながら全体の完成度を上げる(変化させる)」という一石二鳥で描くことが出来るわけです。
私も自分作品を制作するときに何か部分を描く場合それによってその部分以外の関係の完成度も上がるようなプロセスを探します。
そういうプロセスな仕事を見つけられると大体上手くいきます。
「最小限の仕事で最大限の仕事する」というのが一つの理想です。
ただ、これは基本的に周りにある程度情報があることが前提になると思います。
情報がない場合は比較が出来ないでのまず自分で情報を作っていく(絵ならとりあえず描く)過程があります。
また、場合によってはより良くする場合にあえて関係を壊す(部分的に消す)ことなども必要になり、
それが一番の近道であったり、新しい関係性を生むことも多々あります。
デッサンなどの基礎を初心者がするのは「技法」や「観察する目」の他にこのように画面の中での関係性を見つけ描くこと、
少しニュアンスを変えると「今の関係をどう変化させるかという視点」を身につけることが大切に思えます。